生活に不自由がある子どもを守りたい…
このような場面でお悩みではありませんか?
現在76歳のSさん(女性)は、知的障害を持つ子のTさん(45歳)と同居して暮らしています。SさんにはTさんの他に、Uさん(47歳)とVさん(44歳)の子どもがいますが、現在は独立しており、別々に住んでいます。Sさんには夫から受け継いだ土地や建物の他、預金などの財産がありますが、最近自分が亡くなった後のことも考えるようになりました。
今はTさんの看護をSさん自身が行っていますが、自分が亡くなった後、Tさんの面倒をみる人がいなくなってしまいます
兄妹のUさんやVさんは自分の家族がありますので、UさんやVさんに面倒を観てもらうことは出来ません。
また、現在TさんはSさんの資産で生活をしていますが、Sさんが亡くなった後は公的な給付を除くと無収入になってしまいます。
Sさんは遺言を使って、自分が亡くなった後も、Tさんが生活していけるようにすることは出来ないかと、相談にいらっしゃいました。
今はいいけれど…
お子さんに障害などがあって、お一人で生活していくことが困難な場合、ご両親が元気なうちはご自分で面倒を見ることができますが、亡くなられてからはそうはいきません。
特に特別な治療を受けており、今後も治療を続けていかなければならない場合には、経済的な支援をしていく必要があります。
もちろん、上手くサポート出来る方が周りにいれば問題はありませんが、何らかの事情でサポートできなくなった場合にも備えておかなければなりません。
そこで第一には、不自由がある相続人に、一定の財産を確保させることが必要になります。
また、生活が不自由である場合には、たとえ財産を残したとしても、適切に管理ができない場合が多くあります。ですので、第二として、残した財産を適切に管理するような形をつくっておかなければなりません。
さらに、身の回りの世話などを含むサポート体制を作っておくことも必要です。
一つの解決策
一定の財産を遺しておく
まず、生活に不自由があるTさんが、十分に生活できるように、一定の資産を残しておく必要があります。このときは特定の財産を「相続させる」という遺言を利用すると良いでしょう、
また、住まいを確保するならば、現在住んでいる土地や建物をTさんに相続させるように遺言を残す必要があります。
さらに、遺言によって財産に信託を設定することもできます。
後見人を指定する
次に、Tさんの財産管理をするために、Tさんの成年後見人を遺言で指定しておきます。成年後見人はとても重要な職務であり、責任を伴うものでありますので、予め成年後見人に指定する方と相談をしておくとよいでしょう。
また、未成年者の後見人を指定する場合と違い、成年後見人は家庭裁判所が選任するものです。ですので、遺言で指定したからと言って必ずその方が成年後見人に選ばれるとは限りません。ただ、裁判所でも選任時の参考にはするようですので、遺言で指定しておくことをおすすめします。
身の回りの世話を頼む
成年後見人は医療費の支払いや介護契約の締結などの代理をすることは可能ですが、身の回りの世話や、実際の介護などは職務内容に含まれていません。
そこで、生前に予め身の回りの世話を頼む方やサービス業者を見つけておき、ご自分で契約するか、後見人として指定された方に希望を伝えて、いざ自分が亡くなられた時でも、Tさんがサポートを受けられるような体制を作っておきましょう。