公正証書遺言のメリット・デメリット
公正証書遺言のメリット
公正証書遺言には、以下のようなメリットがあります。
間違った内容は残さない
公証人という専門家が関与し、遺言者や証人に確認しますので、遺言を書き間違えたり、形式の整っていない遺言をするリスクが無くなります。ご自身の意思を正確に残すことが可能になるのです。
遺言内容の吟味が可能
これも専門家が関与することの効果ですが、遺言を残す際には、誰にどの財産を与えるか,だけではなく、どのように手続をすすめるのかなどを話しあって決めることができます。このことで、実際に遺言内容を行う際にスムーズに行動することが可能になります。
偽造を防止する事ができる
公正証書遺言の原本は公証役場に保管されます。公証役場では公証人の管理のもとで遺言書が保存されるため、遺言書がなくなったり、書き換えられたり、場合によっては破られたりする危険がありません。遺産をめぐって争いがある場合には,推定相続人が遺言書を書き換えてしまったり、ともすれば自分に不利な遺言書を処分してしまうこともあります。このような場合に、公正証書遺言は有効と言えるでしょう。
検認が不要
公正証書遺言は、作成するときに厳しい手続を踏んだ上で、公証人が確認するものですので、実際に遺言内容を実行する際には、家庭裁判所で遺言書を検認する手続が不要になります。相続が始まった際は、すぐに遺言を確認して手続を進められますので、相続人の費用や手間が減ります。
難しい文面を考えなくても良い
自分が思っている内容を、実際に遺言として遺すことは実は簡単なことではありません。言葉には様々な解釈があることから、曖昧な言葉や表現を使うと、遺言の内容が、自分の意思とは違う結果になってしまうこともあります。
公正証書遺言では、遺言の趣旨を伝えることで、その趣旨を公証人が文面にしてくれますので、自分の意思に沿った遺言内容を実現しやすくなります。
筆記が出来ない人でも遺言を遺すことができる
公正証書遺言は、公証人に口頭で伝え、これを公証人が筆記するかたちの遺言です。高齢者の方の中には、病気や身体の衰えなどから筆記がままならない方もいらっしゃいます。このように、ご自分での筆記が難しい方でも、公正証書遺言を使うことによって、遺言を遺すことが可能になります。
公正証書遺言のデメリット
作成の手続が面倒である
公正証書遺言をつくるためには、定められた手続を踏まなければなりません。手続を踏んでいないものは公正証書遺言とは扱われません。
作る際にはこのような手間がかかりますので、場合によっては面倒に感じることもあります。
遺言の内容を秘密にしておくことが出来ない
公正証書遺言は,作成するときに、その内容を公証人に伝え、これを証人も確認しなければなりません。つまり、事前に遺言の内容は明らかにしなければならないので、遺言の内容を秘密にしておきたい方に不向きです。
費用がかかる
公正証書遺言を作成するためには、公証人に支払う報酬など、その他の遺言ではかからない費用がかかります。財産が多くなるほど、公証人に対する報酬も高額になりますので、場合によっては相当額の報酬を準備しなくてはなりません。
証人を用意しなくてはならない
公正証書遺言をするためには、証人が2人必要です。この証人は誰でも良いわけではなく、相続人になる方やその配偶者など、遺言によって利益を得たり失ったりする人は証人になれません。また、自分の最期の意思を確認する人でもありますので、信頼のおける方であることも必要です。
このような証人を2人用意しなければならない、ということも、公正証書遺言のデメリットといえるでしょう